肺炎球菌結合型ワクチンが接種出来るようになりました
肺炎球菌は乳幼児に細菌性髄膜炎、菌血症、肺炎、骨髄炎など重度の感染を起こすことで知られています。この感染を防ぐためにワクチンが有効なのですが、今までは2歳未満の乳幼児に有効な肺炎球菌ワクチンが日本にはありませんでした。今回、新しい7価肺炎球菌結合型ワクチンが2010年2月24日より日本でも発売され、使用出来るようになりました。
肺炎球菌は乳幼児に細菌性髄膜炎、菌血症、肺炎、骨髄炎など 重度の感染を起こす原因菌として知られています。
特に、死亡をを含む重度の後遺症を起こす細菌性髄膜炎では 7-8割がb型インフルエンザ菌(Hib)、肺炎球菌、 B群溶連菌によって発症しています。
Hibに関しては2008年12月からワクチンによる 予防が可能になりましたが、2歳未満の乳幼児に 有効な肺炎球菌ワクチンは今までありませんでした。
23の血清型に対応した肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン (ニューモバックス)はあったのですが、 多糖体ワクチンでは2歳未満の小児には免疫を 作ることは出来ないといわれています。
これに対し、莢膜多糖体にキャリア蛋白を結合させた 結合型ワクチンでは、乳児に対しても免疫を作る ことが出来ます。
2010年2月24日より発売された7価肺炎球菌結合型ワクチン (プレベナー)は、7種の肺炎球菌血清型に 無毒化ジフテリア毒素蛋白をキャリア蛋白として結合させ、 更に免疫賦活剤も加えられているものです。
ワクチン接種により肺炎球菌感染の7〜8割に 効果があるとされています。
このワクチンはアメリカを始めとして 世界の45の国で定期接種として使われており、 感染予防に多大な効果を示すことが実証されています。
プレベナー(PCV7)の接種対象は、 生後2カ月〜9歳の小児となります。 接種スケジュールは以下の通りで、年齢により区別があります。
1. 生後2カ月〜6か月齢 初回免疫 1回量0.5ml 4週以上の間隔で3回接種 追加免疫 3回目から60日以上開けて、12〜15カ月齢に1回接種 2. 7カ月齢〜1歳未満 初回免疫 1回量0.5ml 4週以上の間隔で2回接種 追加免疫 2回目から60日以上開けて、12カ月齢以後に1回接種 3. 1歳〜2歳未満 60日以上開けて2回接種 4. 2歳以上〜9歳以下 1回のみ接種
このワクチンは不活化ワクチンですので、 6日開ければ別なワクチンは接種可能です。
また必要であれば、他のワクチンとの同時接種も可能です。 接種費用は、日本の場合任意接種なので、 ワクチンの販売価格に基づくことになりますので 正確には決められませんが、大体1万円程度になると思います。
費用的にはやや割高ですが、肺炎球菌ワクチンや Hibワクチンをすることで、乳幼児の危険な重症感染は 確実に減らすことが出来ます。
出来れば公費の定期接種になることが望ましいのですが、 当面は難しいようです。該当の年齢の小児で接種希望の方は、 当院受付にご相談下さい。
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