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平成28年10月より1歳未満の乳児にはB型肝炎定期予防接種が始まります。

B型肝炎は急性肝炎ばかりでなく、キャリア化して持続し慢性肝炎から肝硬変、肝がんの原因となることもあります。

B型肝炎ウイルスが原因ですが、血液を介した感染ばかりでなく、体液、汗、尿などでも感染が起こるとされています。

ワクチンによって感染は予防できるため、平成28年10月から1歳未満の乳児を対象にB型肝炎定期予防接種が始まります。






  B型肝炎はC型肝炎と共に慢性肝炎から肝硬変、肝がんの原因になることで知られています。肝硬変の12%、肝がんの17%はB型肝炎ウイルスによるものです。B型肝炎ウイルスは1965年に発見され、感染は血液や血液製剤を介して起こるとされてきました。特に乳幼児ではキャリア(ウイルス保有者)の母親から出生時に感染する母子垂直感染が問題とされ、これに関しては1985年から「B型肝炎母子感染防止事業」が実施され、多大な予防効果をあげてきました。

 B型肝炎ウイルスは通常感染すると約30%が急性肝炎として発症し、多くはそのまま治癒します。ただ発症者の1〜2%は劇症肝炎となり、その70%が死亡するという危険もあります。今までは3歳までの乳幼児はキャリア化しやすく、3歳以上は一般にB型肝炎に罹患しても治癒してキャリア化しないと考えられてきましたが、近年感染するウイルスの遺伝子型の変化により感染後のキャリア化が増加しています。また、B型肝炎ウイルスは一度感染すると、治癒したように見えてもウイルスは完全に消えることはなく残存し、身体の抵抗力の低下に伴い再活性化する危険性も指摘されています。

 B型肝炎ウイルスにはA〜Hまでの8つの遺伝子型があると分かっています。日本における遺伝子型はタイプCが大多数で次にタイプBが多く、欧米型のタイプAは少数でした。ところが最近ではタイプAの感染が増加しており、タイプCと異なりタイプAの場合は10%程度がキャリア化すると言われています。キャリアが増えるということは、より周りの人への感染の危険が増えることになります。出来るだけB型肝炎に感染しないことが最も大切だということです。




 日本におけるB型肝炎ウイルスのキャリアは130〜150万人でおよそ人口の1%程度です。ところがアジアやアフリカなどでは人口の約8%以上がキャリアになっている国が沢山あります。そのため世界では年間約60万人がB型肝炎ウイルス関連の病気で死亡していると考えられています。

 B型肝炎ウイルスの感染経路には母子垂直感染と水平感染の2つの経路があります。母子垂直感染は出産時に母から子にうつるもので最も重要な経路ですが、母子感染防止処置をすることで9割以上は防ぐことが出来ます。水平感染に関しては、近年では血液ばかりでなく体液や汗、涙、尿、唾液などを介したキャリアからの水平感染が問題になっています。特に問題なのは家庭内感染、その中でも父子感染が多いことです。その他、性交渉、針治療、ピアス、入れ墨、接触系スポーツにも危険はありますし、保育園、養護施設、介護施設などの集団施設での感染も報告されています。水平感染は通常の接触ではうつりませんが、突発的な怪我や長期の接触で知らないうちに罹患してしまうことが多いようです。鼻血、外傷などの出血などに加え、体液の付着する歯ブラシ、耳かき、ヘアブラシ、カミソリなどの共有、おむつ交換時の接触などが感染の原因になると考えられています。

 B型肝炎ウイルスの感染予防にはワクチン接種が最も効果があります。B型肝炎は一度かかってしまうと、肝炎を発病しなくてもウイルスは身体の中に残ってしまいます。かからないためにはワクチンで予防するしかありません。小児のB型肝炎の4割は水平感染によって起こっている以上、母子垂直感染を防止するだけでは、B型肝炎の発症を止めることは出来ません。小児全体にワクチン接種をすることが最も有効な予防法ということになります。1980年代からB型肝炎ワクチンは使用されていたのですが、今までは任意接種の扱いでしたので小児の接種者は多くはありませんでした。今回、平成28年10月からようやく1歳未満の乳児を対象に定期予防接種化されることになりました。これを10年、20年と継続することで、日本における小児のB型肝炎ウイルス感染をほぼ無くすことが出来ると思います。









平成28年10月1日からの神戸市におけるB型肝炎定期予防接種の施行規則は以下の通りです。


対象者平成28年4月1日以後に生まれた、生後1歳未満の者
   (但し、B型肝炎母子感染防止事業の対象者は除外)
接種方法1回目接種: 生後2カ月以降
2回目接種: 1回目の接種から4週以上の間隔をあける
3回目接種: 1回目の接種から20〜24週の間隔をあける
 接種対象者で10月1日より前に接種を受けている者は、接種済の予防接種を定期B型肝炎予防接種とみなして、不足分を以降の定期予防接種として行う。


※ここで注意しなければいけないのは、平成28年度は移行期間のため10月1日以前に生まれた対象者は接種期間が短くなってしまうことです。あくまで生後1歳未満までに3回の接種をしなければいけませんので、出来るだけ早期に接種を始めて下さい。





   B型肝炎ウイルスはワクチンによって100%ではないにしても確実に感染予防することが出来ます。今回定期予防接種になったのですから、将来のためにも対象者の乳児は必ず期間内に予防接種をして下さい。





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