インフルエンザの話題
インフルエンザの流行は平成20年12月頃から一部の地域に目立つようになりました。年末年始の休みがあったために少し流行が収まっていましたが、年初めから再び患者が増え始めています。その他、新型インフルエンザとタミフル耐性化の問題があります。
本年度のインフルエンザの流行は昨年と同じように例年より早く12月頃より始まりました。年末年始の休みがあったために少し流行が収まっていましたが、年初めから再び患者が増え始めています。
今後、保育園、幼稚園、学校の再開と共に更に流行が広がると考えられています。流行しているインフルエンザは、当初よりA香港型(H3N2)とB型が見られていたのですが、最近ではA香港型の増加が目立っています。
昨年流行したAソ連型(H1N1)は今年はあまり見られず、通常2年続けて同じ型は流行しないので今年は流行することはないようです。
今、問題になっているインフルエンザの話題では、一つは高病原性トリインフルエンザ(H5N1)がいつ新型インフルエンザになってパンデミック(世界的大流行)を起こすかということです。
現在2003年以降東南アジアを中心に起こっている高病原性トリインフルエンザのトリからヒトへの感染は、400人近くが発病し、その致死率は60%を超えて極めて危険な感染になっています。ただ、まだはっきりとヒトからヒトへの感染は確認されておらず、感染の伝播は広がってはいません。もしヒトからヒトへの感染を起こす新型インフルエンザに変異を起こせば、世界中で危惧されているパンデミックが起こると考えられていますが、その時期は分かりません。いつ新型インフルエンザが発生してもよいように、その対策が急務となっています。
医療関係者などに対するプレパンデミックワクチンの検討や新型インフルエンザ発生後のパンデミックワクチン生産の研究開発、タミフル・リレンザといった抗ウイルス薬の備蓄が国として進められています。厚生労働省ではホームページで新型インフルエンザに対するガイドラインも公表していますし、県や医師会でも対応マニュアルを出しています。日本で新型インフルエンザが発生する可能性は極めて少ないので、外国で起こるであろう新型インフルエンザが日本に入って来た時にいかに対応することが出来るかが今後の問題になると思います。
もう一つの話題は、インフルエンザウイルスに対する世界的なタミフルの耐性化の問題です。2007年後半から北欧を中心として、タミフルに耐性を示すA型H1N1インフルエンザウイルスが出現するようになりました。
2008年にはヨーロッパでは50%近くがタミフル耐性株になっているようです。しかし、日本では今のところ全国平均で2.6%の耐性率で外国に比べ極めて低くなっています。しかし、一部の県、特に鳥取県では37%の耐性率があり、タミフル耐性ウイルスが広がりつつあることを示しています。この原因はタミフルの使い過ぎで起こった訳ではなく、ウイルスのノイラミダーゼの一部の質的変化が原因と考えられています。
H1N1はAソ連型のインフルエンザウイルスですので、今後この変化したウイルスが流行するようになれば、タミフルの効果が期待出来なくなってしまいます。ただ、リレンザにはこの耐性は認められていないので、耐性ウイルスの場合はリレンザを投与することになるでしょう。また、A型でもH3N2の香港型やB型ではタミフル耐性インフルエンザウイルスはまだ認められていません。今年の流行はA香港型とB型ですので、今年に限っては日本ではタミフルの耐性化はあまり問題にならないものと思います。
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