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いびきと睡眠時無呼吸症候群
小児の睡眠中のいびきは、成人に較べて少ないとはいえよく訴えのある症状です。いびきは、鼻腔、口腔から咽頭、喉頭までの組織の振動音と気道の狭小化に伴う狭窄音と考えられています。小児のいびきの多くは鼻疾患による鼻閉を伴いますが、アデノイド肥大、口蓋扁桃肥大による気道狭窄も主要な原因とされています。いびきのある小児の一部に睡眠時に息が止まる睡眠時無呼吸が認められ、重篤な場合は検査や治療が必要となります。
小児のいびきは多くは鼻腔から上咽頭、喉頭に至る気道の狭窄によるものと考えられています。
鼻疾患に伴う鼻閉がある場合によくいびきは認められ、鼻炎の改善と共に消失することはよくあります。
しかし、鼻炎症状がないのに普段からいびきを認める場合は少し注意が必要です。
多くはアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大による気道狭窄が原因ですが、それ以外の原因のこともあります。
近年、成人を中心として睡眠時無呼吸症候群(SAS)が問題となっており、昼間の傾眠や活動性の低下につながるとされています。
SASはいびきとの関連が多く、いびきのある場合は無呼吸の有無が大切になります。
いびきを認めても無呼吸がなく血中酸素濃度の低下がない場合は、単純いびき症とされ、治療は必ずしも必要ありません。
これに対し睡眠時無呼吸を認める場合は、呼吸停止に伴う酸素の摂取低下が起こる訳ですから、その症状や程度を見極めて、SASとして検査や治療が必要かどうか決めなければいけません。
小児にも同様の対応が必要で、放置した場合は日常の活動性低下、学習障害、発達や成長障害、心不全などの影響が出る可能性があるからです
小児の睡眠時無呼吸症候群については以下の分類がされています。
1. 気道閉塞型 上記に示したような鼻腔から上咽頭における閉塞(狭窄)によるもので、多くはアデノイド肥大、口蓋扁桃肥大が原因となっています。 その他、先天性の鼻腔狭窄、小顎症、巨舌などもあります。
2. 中枢型 脳幹部の呼吸中枢の機能低下によるもので、先天性中枢性肺胞低換気症候群がありますが、極めて稀な疾患です。 その他、脳幹部腫瘍、脳炎、頚髄障害などの二次性神経病変が原因となります。
3. 混合型 閉塞型と中枢型の混在する場合
小児の場合、殆どは閉塞型のSASで、鼻腔や疾患やアデノイド肥大、口蓋扁桃肥大が原因ですので、SASと診断されれば治療は十分に可能です。
小児のSASの統一された診断基準はありませんが、一般的には10秒以上の無呼吸が1時間当たり5回〜10回以上ある場合が病的とされています。(無呼吸低換気指数:5〜10以上) もし、いびきがある小児で無呼吸が10秒以上認められる場合は、要注意ですのでその頻度を確かめることが大切です。
正確な診断には、ポリソムノグラフィーや携帯型睡眠時無呼吸モニターなどの睡眠時検査が必要となりますが、これは専門施設で行うことになります。
また、原因検索として上気道X線、内視鏡、MRI、CTといった検査も必要となります。今までの報告では、アデノイドや扁桃腺による閉塞型の場合、摘出手術によるSASの改善は極めて良好と言われています。
いびきのある小児でも無呼吸のある場合は必ずしも多くはありませんが、もし無呼吸があることに気付いたら、その無呼吸時間や頻度を確認して下さい。
多くの場合はきちんとした対応で十分な改善が期待出来ますので、睡眠無呼吸は放置しない方がよいと思います。
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