不活化ポリオワクチンが平成24年9月からの導入が予定されています。
日本では今まで生ポリオワクチンでポリオ感染の予防を行なってきました。 生ポリオワクチンは優れたワクチンではあったのですが、 稀に生ポリオワクチンに起因する麻痺の発生がみられることから、 平成24年9月から生ポリオワクチンに代わり不活化ポリオワクチンが 導入されることになりました。
日本では昭和30年代にポリオの大流行があり、 その当時多くの小児が神経麻痺等の後遺症を残しました。 それに対しては生ポリオワクチンの導入により 以後の流行はみられなくなりました。
1980年に1例の発症があった後、現在まで日本では野生の ポリオウイルス感染は起こっておらず、 2000年には日本でのポリオ根絶宣言が出されています。 しかし、海外ではパキスタン、アフガニスタンなどの 南西アジア、ナイジェリアなどのアフリカ諸国では 今も流行があり、それらの国を経由して散発性の 感染が多くの国で起こっています。
日本には野生のポリオウイルスがなくても、 世界からはいつでもポリオウイルスが 入ってくる可能性があるのです。
日本におけるポリオ感染の予防は流行の後導入された 生ポリオワクチンで行われてきました。 生ポリオワクチンはそれ自体は優れたワクチンで、 日本におけるポリオ根絶に大きな役割を果たしてきました。
しかし、稀に生ポリオワクチンに起因する麻痺の 発生がみられることが、近年問題となってきました。
ポリオ予防接種による麻痺の可能性があると認定された件数は、 2001年から2010年の10年間で 15人(100万人あたり1.4人)みられています。
また、便などを介してポリオ接種者と接触した人 に発症する2次感染の危険性は、 概ね700万人に一人と推定されています。
このような生ワクチンに伴う危険性を回避するために、 平成24年9月から生ポリオワクチンに代わり 不活化ポリオワクチンが導入されることになりました。
正確には8月に省令の改正が行なわれて 不活化ポリオワクチンの9月からの導入が決定され、 同時に今まで行なわれていた生ワクチンは中止となります。
今回導入される不活化ポリオワクチン(イモバックス)は ポリオ単独ワクチンで、世界で最も使われている ソークワクチンと呼ばれるもので、全体としては 計4回の接種が必要となります。
対象は生後3ヶ月から90ヶ月の小児で生ワクチンと変わりなく、 1期初回接種を3ヶ月から1歳までの期間に、 3週から8週の間隔で計3回皮下接種、 更に初回接種終了後6ヶ月以上の間隔をおいて 1期追加接種を行うことになっています。
ただ、今の段階では4回目の追加接種の有効性、 安全性は確立しておらず、その承認は 平成25年初め頃になると思います。
また、今までに生ワクチンを受けている小児に関しては、 1回接種済みの人は残りの3回を接種し、 2回接種済みの人は接種は必要ありません。
更に任意で不活化ポリオワクチンを接種している人は、 その回数に応じて計4回になるよう 残りの回数を接種することになります。
次に、三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチン (弱毒ポリオウイルスであるサービン株使用)を組み合わせた 4種混合ワクチンが11月頃を目途に導入が図られています。 接種方法は三種混合ワクチンと同様ですが、 まだワクチンとして認定されていないため詳細は未定です。
不活化ポリオワクチンばかりでなく4種混合ワクチンの 導入により予防接種の形態が以前とはかなり変わってきます。
まだ不確定の要素が多い上、不活化ポリオワクチンの 欠点である免疫の持続性の問題など これからも検討しなければならない課題が沢山ありますが、 不活化ポリオワクチンの導入はこのまま確実に進んで行きます。 新たな制度の長所も欠点もよく理解した上で 接種を受けることをお勧めします。
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