不活化ポリオワクチン接種の平成24年9月からの開始が決まりました。
平成24年9月から予定されていた不活化ポリオワクチンの導入が決まりました。 9月1日から接種出来ることになります。 8月末にワクチンが入荷しますので、予定通り9月1日から接種が開始されます。
日本では今まで生ポリオワクチンにより ポリオウイルス感染を予防してきましたが、 非常に稀に経口生ポリオワクチン(OPV)に伴う ワクチン関連麻痺(VAPP)を起こすことが問題になってきました。
頻度的にはOPV被接種者に起るVAPPは100万人に1例、 OPV被接種者からの周りの人への二次感染は 700万人に1人とされています。
具体的な報告では、1994年10月から2011年3月までに 日本でのVAPPは38例、 OPA被接種者からの二次感染は1例となっています。
このようなワクチン関連麻痺の予防のために 不活化ポリオワクチン(IPV)の導入が検討され、 今回平成24年9月から開始されることになりました。
世界保健機構(WHO)も野生ポリオウイルスが 根絶された先進地域においては不活化ポリオワクチンの 導入を勧めています。
不活化ポリオワクチンは成分が 生のウイルスではないため、VAPPは起りません。
ただ免疫獲得のためには4回の接種を必要とします。 不活化ポリオワクチン導入に伴い今までの 生ポリオワクチン接種は中止になりますので、 ここ2、3年は移行期として接種回数などで 混乱が起きないようにしなければなりません。
また、本年11月頃からは三種混合ワクチン(DPT)と 不活化ポリオワクチン(IPV)が一緒になった 4種混合ワクチン(DPT-IPV)が予定されています。
しかし、すでにDPTやOPVを受けている小児は この4種混合ワクチンを受けることは出来ません。
今回の単抗原不活化ポリオワクチンの導入はそのような 小児に対する補完的な目的で導入されるということです。
今回導入される不活化ポリオワクチンは サノフィパスツール社のポリオ単独ワクチン (イモバックス)で、世界86カ国で使われている 野生株を基にしたソークワクチンと呼ばれるものです。
全体としては計4回の接種が必要となります。 対象は生後3ヶ月から90ヶ月の小児で生ワクチンと 変わりなく、1期初回接種を3ヶ月から1歳までの期間に 出来るだけ行い、3週から8週の間隔で計3回皮下接種、 更に初回接種終了後6ヶ月以上の間隔をおいて 1期追加接種を行うことになっています。
ただ、現段階では4回目の追加接種の有効性、 安全性は治験段階なので確立しておらず、 その承認は平成25年1月頃になる予定です。
また、今までに生ワクチンを受けている小児に関しては、 1回接種済みの人は残りの3回を接種し、 2回接種済みの人はもう接種は必要ありません。
更に今まで任意で不活化ポリオワクチンを接種していた人は、 その回数に応じて計4回になるよう残りの回数を 接種することになります。
ちなみに、4種混合ワクチンに使われる 不活化ポリオワクチンは野生株ではなく 弱毒ポリオウイルスであるサービン株を基にしています。
サービン株は今まで生ワクチンとして使われていたもので、 それを基にした不活化ポリオワクチンの効果は確認されています。 サービン株を用いた4種混合ワクチンは日本が始めて開発したもので、 すでに承認は得られており、11月頃を目途に導入が予定されています
イモバックスの発売は8月20日頃、8月末には納入が可能になりますので 予定通り9月1日から接種は開始出来ると思います。 ただ、昨年度からポリオ生ワクチンの接種率が低下しており、 IPV開始とともに接種希望者が急増する可能性があります。
しかし、ワクチン供給量は十分あるので接種出来ないなど 不安になることはないと思います。まずは新しい制度の開始ですから、 接種回数などの確認など間違いのないようにして下さい。
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