MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)などの定期接種には接種期間が決められています。期限を越えてしまうと定期接種としては接種出来なくなってしまいます。行政措置接種などの任意接種として接種は出来ますが、接種費用がかかることになりますので注意して下さい。期限の迫った定期接種は出来るだけ速やかに接種して下さい。
定期接種ではワクチン毎に接種時期が決められています。そのため、その期間内に接種しないと、任意接種の扱いになり接種費用がかかることになります。定期接種はかかると困る病気に対して国が定めたものですので、接種が必要なことは間違いありません。個人の予防ばかりでなく、感染防止のための社会としての予防が大切だからです。
例えば、麻疹や風疹にワクチンをしていなかったために麻疹や風疹にかかったとすれば、伝播防止のために本人ばかりでなく接触のあった小児や成人など全ての人の発症の確認や検査など多大な対応が必要になります。MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)をしていれば、殆どの人は麻疹や風疹にかかることはありません。予防接種をしていてもかかることはありますが、接種せずにかかるのとは全く意味合いは違うのです。
ただ、定期接種の期限は定まっていますので、その期限を忘れないことが大切です。行政からの連絡がある場合もありますが、まずは個々人が期限に遅れたら困るワクチンを知っておかなければいけないと思います。以下、一般的に接種期限に遅れやすい定期接種について説明します。
1. MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)
MRワクチンは、1歳〜2歳未満に行う1期と、小学校入学前の1年間に行う2期があります。1期は必ず2歳までに行うこと、また2期に関しては小学校入学直前の3月31日までに接種する必要があります。この期日を過ぎると、定期接種ではなく任意接種の扱いになり、費用がかかります。
麻疹や風疹は非常に伝染力の強い病気で、集団発症や流行を起こしやすく、流行になると大きな社会問題になってしまいます。麻疹による肺炎や脳炎、風疹による脳炎、血小板減少性紫斑病、先天性風疹症候群などの発症は、予防接種により十分に予防できる病気です。以前の予防接種のない時代は、麻疹で亡くなる小児は少なくなく、風疹による先天性風疹症候群の流行が大きな問題となったこともあります。
しかし、小児への予防接種の開始後、特に2006年からの2回接種開始後からは、小児での発症は未接種者を除けば殆どなくなっています。MRワクチン2期の対象の小児は、MRワクチン1期を接種していると思いますが、1期だけの接種では感染予防としては十分ではありません。最近では周りで流行が起こらないため、自然のブースター効果(ワクチン増強効果)は期待できず、生ワクチンとはいえ年々予防効果が落ちる二次性ワクチン不善が起こる可能性があります。
また、基より接種した人の5%程度は、接種しても十分な抗体を獲得できない一次性ワクチン不善があると言われています。そのためMRワクチン2期は予防効果を維持するためにどうしても接種しておく必要があるのです。
2. 水痘ワクチン
水痘ワクチンは1歳〜3歳未満の間に2回接種が必要です。特に1回目と2回目の間隔は最低でも3カ月開けなくてはいけませんので、接種時期を遅れさせないようにして下さい。3歳を過ぎると任意接種の扱いになってしまいます。
3. B型肝炎ワクチン
B型肝炎ワクチンは1歳までに3回の接種が必要です。1歳を過ぎると任意接種になってしまいます。特に問題となるのは、3回目の接種で1回目の接種から20週開けなければいけません。概ね5カ月間開けることになるので、1回目の接種は6ヶ月令までにしておかなければいけません。接種時期を遅らせないようにして下さい。
4. 日本脳炎ワクチン
日本脳炎ワクチン1期追加の期限は7歳半までです。ただ、1期2回目からは6ヶ月開ける必要があります。1期1回目や2回目の接種を7歳までにしておかないと1期追加が定期接種として出来なくなってしまいます。
5. 四種混合ワクチン
四種混合ワクチン1期追加の期限は7歳半までです。ただ、1期3回目からは6ヶ月開ける必要があります。日本脳炎ワクチンと同様、1期3回目の接種を7歳までにしておかないと1期追加が出来なくなってしまいます。
6. 二種混合ワクチン
二種混合ワクチンは11歳〜12歳で接種することになっています。13歳になると任意接種になります。大体は小学6年生で接種していますが、中学生になっても13歳になるまでは接種出来ます。
7. ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチン
ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンは接種開始時期やその後の接種時期により接種回数が変わってしまいます。出来るだけ2カ月令から開始し、標準的間隔で接種して下さい。