発行日:2005/11/11
子どもが食物アレルギーなのですが、わだ先生は、完全除去食などどのような対処をされていますか?
食物アレルギーに対する除去食は、まず食物に対し本当に制限する必要があるのかきちんと確認することが大切です。
例えば、よくRAST法などの検査で陽性だからといって何でも制限することがありますが、これはよくありません。
食物アレルギーの基本は、食べたら症状が悪くなって、止めたら症状が良くならなければいけません。
RAST法は鋭敏な検査ですから多くの人で陽性反応が出ますが、実際に食べて症状の出る人はその一部に過ぎません。
また、仮に乳児期に卵やミルクに反応があったとしても、1才を過ぎると次第に反応もなくなり検査値も良くなっていくのが一般的です。
殆どの人は5〜6才になれば検査値も改善してしまいます。このような場合、本当に食事制限が必要かどうかはチャレンジテストという食物除去試験、食物負荷試験で決めることになります。
食物アレルギーとしての発赤や蕁麻疹が出る、皮膚炎があるといった症状が、食物を実際に制限したり与えたりすることで変化が見られるかが大切になります。
除去試験で言えば、10日から2週間程その食物を完全に除去すればはっきりします。
食べても食べなくても症状が変わらなければ、いくらRASTが陽性でもその食物は症状の主要な原因ではなく、制限する必要はありません。
無意味な制限は発育段階の小児の栄養と言う点でも問題ですし、折角の食べる機会を失わせることになります。
ご質問の完全除去食についてですが、以上のような理由から本当にそれが必要かどうか確かめて決めるべきだと思います。
卵アレルギーでも、生は駄目でも加熱すれば症状の出ない人は沢山います。また、沢山食べると出るが少量なら何ともない人もいます。
このような人に加工品を含めた完全な卵除去をすることなどは、全く無意味なことです。
勿論、稀ではありますが、ほんのわずかでも強いアレルギー症状を出す人はいますので、そのような人には完全な除去食が必要です。