発行日:発効日:2016/10/20
私たちの周りには多くのウイルスや細菌がいて、
色々な病気の原因になります。
そのような病気に抵抗力の弱い赤ちゃんや幼児がかかると、
非常に重症になったり後遺症が残ったりします。
予防接種はこのような危険な病気になるのを防いだり、
仮にかかっても軽くすむようにするために行われています。
現在、日本では多くの予防接種が行われていて子どもを
守っていますが、その接種率は必ずしも満足出来るものではありません。
ワクチンは個人の防御という面と、社会全体での流行の防止という面があります。 特に伝染性の強い病気に関しては、出来るだけ多くの
小児がワクチンをすることで社会での流行を防ぐことが出来ます。
任意ワクチンには費用がかかるものがあるので仕方ない点もありますが、
出来るだけ多くのワクチンが定期接種化され、誰もが費用負担することなく
接種出来るようになることが望まれています。
現在行われている予防接種には定期接種と任意接種があります。
予防接種法に基づいて国が出来るだけ受けるようにさせている予防接種で、 以下の12種類のワクチンがあります。接種期間内であれば公的な助成により無料で接種することが出来ます。
予防接種法にはありませんが、自己負担で任意に受けられる予防接種で、ムンプス(おたふくかぜ)、水痘、インフルエンザ、23価肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなどに対するワクチンです。一部のワクチンには公的な助成があります。
ワクチンには生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドといった種類があります。
生きたウイルスや細菌の毒性を弱め、接種しても発病しないようにしたワクチンで、軽く感染したのと同じ状態にして免疫(抵抗力)をつくるものです。麻疹・風疹混合(MR)、麻疹、風疹、BCG、ムンプス、水痘、ロタウイルスがこの生ワクチンです。
ウイルスや細菌の一部の成分からワクチンを作り、その病原体を殺すような抗体を作らせるものです。ただその病気に感染した訳ではないので、抗体を維持するためには何回か接種をしなければなりません。四種混合、不活化ポリオ、三種混合、日本脳炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、子宮頚がん、インフルエンザ、B型肝炎がこのワクチンです。
トキソイドとは細菌の出す毒素の毒性をなくしたものです。不活化ワクチンと同様、何回か接種することで、この毒素の作用をなくすことができます。破傷風やジフテリアのトキソイドが四種混合、二種混合、三種混合ワクチンの成分になっています。また、ヒブや小児用肺炎球菌ワクチンにも使われています。
現在、BCGだけが行政による集団接種で行われています。その他のワクチンはかかりつけ医や病院での個別接種となります。
ワクチン不全とはワクチン接種をしても十分な抗体が出来ず、予防効果が出来ない状態をいいます。ワクチン不全に一次性ワクチン不全と二次性ワクチン不全があります。
一次性ワクチン不全とは、接種をしても十分な抗体産生が出来ない状態です。免疫不全など元々抗体が出来づらい人や、病気や薬などの影響で抗体が出来づらくなっている時に起こります。実際には数%の人がこの一次性ワクチン不全を起こすといわれています。
二次性ワクチン不全の場合は、当初は防御に必要な十分な抗体が出来たのですが、何年も時間が経つにつれて徐々に抗体が低下してきて、防御出来なくなる状態をいいます。1回だけでなく何回かワクチンをするのは、防御出来る抗体レベルを保ちこれらのワクチン不全を防止するためなのです。追加ワクチン接種による増強効果をブースター効果といいます。