発行日:2005/01/01
■ 急性中耳炎はどうして起こるのですか
急性中耳炎は小児にみられる耳に関する病気で最も多いものです。感染の原因は鼻腔から上咽頭に炎症があり、中耳につながる耳管を介して中耳にも炎症が起こるためです。特に、小児の耳管は成人に較べて太めで短く、しかも水平に近いため鼻腔からの逆流が起こりやすいのです。小児では、鼻炎があって、鼻づまりも目立つようですと、中耳炎にはなりやすいので気を付けましょう。
中耳炎の原因は、多くは細菌感染ですが、一部にはウイルスやマイコプラズマなどでも起こります。細菌感染では、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌という3つの細菌が起炎菌としてよく知られています。特に、最近はこれらの菌の中で、抗生剤治療に抵抗を示す耐性菌が増えていることが問題となっています。
■ 急性中耳炎の症状はどんなものですか
中耳炎の症状としては、一般的には耳痛と発熱がみられます。発熱も、必ずしも高熱とは限りません。ただ、乳幼児では言葉での訴えが出来ないこともあるので、泣き続ける、機嫌が悪い、耳をよく触るといった症状だけのことも少なくありません。勿論、症状が進行して鼓膜に穴があけば、耳漏という膿汁をみることもあります。耳漏は、膿とは云っても耳垢のようなドロッとしたものではなく、水様のものですのでご注意下さい。
■ 治療はどういうことをするのですか
中耳炎の治療は症状によって、内服だけでよいのか、耳鼻科的な処置が必要になるかが分かれます。原因菌の検索を行った上で、軽い症状であれば抗生剤の内服でよいのですが、症状がひどくなれば鼓膜切開などの耳鼻科的な処置を必要とします。鼻づまりなど中耳炎を悪化させる要素が目立つのであれば、やはりその治療も併用して行うのがよいと思います。
小児の場合、急性中耳炎は一度なると再発しやすくなりますので、治す時はきちんと治すことが大切です。反復して中耳炎を起こし、慢性化してしまうとより治りづらくなりますし、滲出性中耳炎や難聴の原因にもなるからです。
日常生活は特に制限はありませんが、鼻に水が入るような状態は避けた方がよいでしょう。また、強く鼻をかむと陰圧で中耳に逆流を起こしますので、鼻をかむ時も片方ずつ軽くかむようにして下さい。