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【 日本脳炎ワクチン接種中止のお知らせ 】

 平成17年5月30日、厚生労働省は副作用の問題で、現行の日本脳炎ワクチンの接種を差し控えるよう勧告しました。それ故、今後は現行の日本脳炎ワクチン接種は中止することになりました。

 現在の日本脳炎ワクチンは、予防接種法に基づき定期の予防接種として、特に3才以上の小児に勧められてきました。 ところが、平成17年5月、疾病・障害認定審査会において、現行の日本脳炎ワクチンと重症のADEM(急性散在性脳脊髄炎) 発症の関連性が答申され、5月26日に厚生労働省はそれを事実上認める決定をしました。 更に、5月30日厚生労働省は、定期予防接種における日本脳炎ワクチン接種の勧奨を差し控えるよう勧告を各都道府県に通知しています。

【日本脳炎】は、日本脳炎ウイルスによる感染で脳や脊髄などの神経系の異常を起こします。 ヒトからヒトには感染しませんが、ブタなどの動物を介してコガタアカイエカがヒトを刺すことで感染します。 殆どは不顕性感染ですが、1000人から5000人に一人は脳炎を起こし、その場合15%は死亡し、50%は後遺症を残すと言われています。

*現行の【日本脳炎ワクチン】は、マウスの脳を用いてウイルスを増殖させ、精製、不活化して作られており、極微量の脳組織成分が残存している可能性が指摘されています。 今回、問題になっているのは、現行の日本脳炎ワクチンが他のワクチンに較べ、ADEMという脳神経障害を起こす危険性が高いのではないかということです。

【脳神経障害:ADEM(急性散在性脳脊髄炎)】は、ある種のウイルスなどの感染後あるいはワクチン接種後に稀に発症する脳神経系の異常で、10%程度に運動障害等の神経的後遺症を残すと言われています。 ウイルスなどの感染後にも起こりますので、ワクチン後にADEMがみられても、感染によるものとワクチンによるもの、あるいは原因不明のものとの区別は確かに難しい問題です。

 しかし、日本脳炎ワクチン接種後にADEMがみられたとして、予防接種法に基づく健康被害救済制度の認定を受けた人は、平成3年以降14例(うち5例が重症例)みられます。 これに対し日本脳炎以外の他のワクチンによるADEMの被害救済例は2例に過ぎません。このことから、現行の日本脳炎ワクチンにはやはり問題があり、マウス脳との関連は確実ではありませんが、マウス脳を使用しない新しい危険性の低いワクチンが出来るまで、現行の日本脳炎ワクチン接種は差し控えることになったのです。

* 現行の日本脳炎ワクチン接種後に【ADEMが発症する危険性】は、大体70〜200万回に1回と考えられています。 仮に発症しても殆どは軽快しますが、きちんとした対応が必要です。 接種後、数日から2週間程度の間に発熱、頭痛、けいれん、運動障害など症状がみられた場合は、必ず医療機関を受診して下さい。

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