感染による胃腸炎は下痢や嘔吐を伴い、こどもには非常に多い病気です。
下痢は胃腸で十分に食物が消化されず、水様、泥状、軟便など便がゆるくなった状態を言います。
感染性の下痢は大まかに以下の2つのタイプに分けられます。
1)腸 毒 素 型
ウイルスなり細菌の出す毒素により腸粘膜が水分を通しやすくなり、水分が大量に腸管内に出てきて、便が水のようになるタイプです。
ロタウイルス、ノロウイルスに代表されるウイルス性の下痢が代表的なものです。
2)腸 侵 入 型
腸粘膜がただれるために出血して血便を出すタイプです。
病原性大腸菌、サルモネラ菌、キャンピロバクターなどによる細菌性の下痢がこれにあたります。
こどもの下痢の場合、上記の2つのタイプはよく見られます。この時に胃腸の症状が強ければ、発熱、腹痛、吐き気や嘔吐を伴います。
季節的には秋から冬にかけてはロタウイルスのようなウイルス性の下痢が多く、暖かい時期には食あたりなどによる細菌性の下痢が増えてきます。
しかし、今はどの季節でもどちらのタイプの胃腸炎も起こりますので、便の性状には十分に注意して下さい。
*【下 痢 や 嘔 吐 】の時は何に注意したらよいですか?
まず便の性状の見きわめが大切です。もし、血便が見られたなら、その便を持って病院を受診し、必ず検査を受けて下さい。大腸菌O-157に代表される様な危険な感染もありますので、便の培養検査が必要となります。
*【 吐 き 気 】が 強い時はどうしたらよいでしょうか?
吐き気が強い時は、むやみに食べ物や与えてもすぐに吐いてしまうので、まず吐き気止めを使うことが必要です。
吐き気止めがない場合は、少し時間をあけてある程度吐き気が治まったら、少しずつ糖分や電解質
(塩分やカリウム)の入った飲み物を与えて下さい。
乳幼児の場合は、脱水や低血糖になりやすいので注意して下さい。脱水の目安は尿が出ているかで分かりますので、
尿量が少ない時は診察を受けることをお勧めします。
■【 感 染 を 防 ぐ】にはどうしたらよいですか?
食べ物としては、肉や魚介類、生ものには特に注意が必要です。サルモネラ、キャンピロバクター、
病原性大腸菌は牛、豚、鶏の腸に住んでいることが多いので、調理には十分気を付けて下さい。
魚介類にもビブリオという塩分に強い細菌が出ることがありますので、出来るだけ新鮮なうちに食べて下さい。
また、近くの患者の便や吐物に触れると経口ですぐ感染してしまいますから、十分な手洗いやうがいが
とても大切になります。
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