【クループ症候群に気をつけましょう】
秋から冬にかけてはクループ症候群というのどの風邪が流行るようになります。単なるのど風邪ですめばよいのですが、時には非常に重症になることもありますので注意をして下さい。
クループ症候群とは、喉頭というのどの奥の気管と食道とに別れる部分が腫れることにより、気道が狭くなって引き起こされる病気の総称です。症状的には、声が嗄れたり、犬が吠えるような変な咳が止まらなくなったり、ひどい場合はヒーという吸気性の喘鳴が出現し呼吸が苦しくなってしまいます。殆どは感染によるもので、特に乳幼児は気道の発達が未熟で内腔も細いためにこのような症状が出やすいのです。感染性のクループ症候群は大まかには以下の4つに分けられます。
1) 喉頭炎 2) 喉頭気管炎 3) 喉頭気管気管支炎 4) 急性喉頭蓋炎
*【喉頭炎】【喉頭気管炎】【喉頭気管気管支炎】は、喉頭でも声帯から下の部分の炎症が主体で炎症の範囲によって症状に多少の差が見られます。喉頭のみの場合から、次の太い気管まで、更に次の気管支まで炎症が進む場合があるからです。嗄れ声や犬吠様の咳が一般的ですが、同時に気管支炎も起こると喘息のような症状も出るようになり、通常はみられない肺呼吸音の異常もみられるようになります。もし、炎症がひどければ気道の入口が狭くなることによる吸気性の喘鳴が出現します。更に呼吸困難から酸素不足になって口唇や手足が青くなることもあり、これをチアノーゼと言います。
原因は殆どはウイルス感染でパラインフルエンザ、インフルエンザ、アデノ、RS、エンテロなどのウイルスが知られています。ただ一部には細菌による感染もあり、この場合は抗生剤の治療が必要になります。一般的な【外来の治療】では、嗄れ声や犬吠様の咳のみの場合は鎮咳剤や安静、のどの加湿で対応します。しかし、吸気性の喘鳴がある場合は、粘膜の腫れを取るためにエピネフリンの吸入やステロイドの投与が必要となります。更に、呼吸困難やチアノーゼのある場合は必ず入院治療をしなければなりません。
*【急性喉頭蓋炎】は、頻度は少ないのですがクループ症候群の中で最も危険な病気です。喉頭蓋とは気管と食道の分岐部の、気管に蓋をする部分のことで、通常は食べたものを気管の方に入れない役割をしています。この喉頭蓋に炎症が起こると、突然の高熱、咽頭痛、咳が出現し、すぐに吸気性喘鳴や嚥下障害によるよだれが出るようになります。この病気の危険な所は、喉頭蓋の腫れがひどくなると、突然気管の入口が詰まり窒息状態になることがあるからです。この病気と判ればすぐに【入院治療】が必要で、いつでも窒息に対する緊急の対応が出来るようにしておかなければいけません。原因は細菌感染で、肺炎球菌や溶血性連鎖球菌で起こることもありますが、殆どはb型インフルエンザ桿菌によるものです。
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